イノたまごラボ・あのぶる の「こんなの作ったよ!」

「イノたまごラボ」はひとり同人サークルのようなものです。今のところ同人誌は作っていませんが、ソフトウェアからイベントまで、心惹かれたものを細々と。

今更感想文・鬼滅の刃(原作)を読んだ

前にも似たような書き出しで書いた気がするんだけど、どうしても読書感想文が書けない(と思っている)ことがコンプレックスなので、ドラえもんの読書感想文がスラスラ書ける本を読んだ上で、実際に書いてみることにした件。 青少年読書感想文全国コンクールの要項 の高校生部門が2000字なので、とりあえずそれくらいで書いてみることにする(つっても、数える都合で原稿用紙の行数が基準ぽいけどな)

例によってずっと下書きでいい加減外に出さないと腐りそうだと思ったので、タイミング無視で放出するタイプの記事。
原作ネタバレがあるのでアニメ派の方はご注意を。

甥っ子が好きで一緒にアニメを観たのがきっかけで、どんな話なのかが気になって電子書籍を買ったらサクッと最後まで読んでしまった。追いついた直後に最終巻発売で助かりました。大人の経済力ゥ……
最初にネットミームとして触れすぎたせいで、いわゆるパワハラ会議のシーンでは「なんだ無惨様意外と話の筋は通ってるじゃん」とわりと本気で思ってしまった。実社会(コラ)の方が理不尽度高すぎ。

物語の内容は説明するまでもない有名作品ではあるけど一応。
鬼に家族を殺され、唯一生き残った妹も鬼にされた炭治郎少年が厳しい修業の末鬼殺隊に加わり、時には辛い別れを経験しながらもついには鬼の始祖を討ち果たし、妹も無事人間に戻りその後幸せに暮らしましたという物語。
大正時代を舞台にしながら、登場人物の頭の中はどこか今どきっぽかったりするのがちょっと面白い、というのが最初の印象。昔の厳しい時代に生きた人たちは現代の自分たちよりずっと立派に見えるけれど、案外この印象の通りなのかもしれない、とふと思ったりしました。

この漫画の掲載紙であった週刊少年ジャンプは「友情・努力・勝利」をモットーとして掲げているとされているのは有名な話。実際彼らは「仲間と絆を結び(友情)」力を合わせて、「厳しい修業を乗り越え(努力)」、「鬼の始祖である鬼舞辻無惨を打ち倒す(勝利)」ということで、しっかりモットーを踏襲していて正しく少年漫画と言える作品になっていると言えそう。 とは言え曲がりなりにも「生き物」として存在する鬼を退治するので普通に血は出るし首は飛ぶし、ちょっと描写が怖くて一見少年誌らしからぬダークさがあるものの、本来の対象読者である小学校高学年以上なら大丈夫な気もするので、映画のPG12というのはわりとちょうどいい線引きなのかなと思っている。

登場人物の中で特に気になったのが主人公炭治郎の同期であり、主要キャラクターである伊之助と善逸の二人。炭治郎のメンタリティは物語開始時点ですでにほぼ成熟しきった感じがある*1けれど、この二人は物語の中でかなり大きく成長した印象がある。
伊之助は映画・無限列車編の終盤のセリフであるこれと

死んだ生き物は土に還るだけなんだよ べそべそしたって戻ってきやしねぇんだよ
悔しくても泣くんじゃねえ (筆者注: このコマで当人が泣いている)
どんなに惨めでも恥ずかしくても 生きてかなきゃならねえんだぞ

鬼滅の刃 8 (ジャンプコミックスDIGITAL) 第66話 黎明に散る より 

最終決戦で逃げる無惨を追いながら叫ぶ

俺たちを庇って
数珠のオッサンの足と 半々羽織の腕が千切れた
あっちこっちに転がってる死体は一緒に飯を食った仲間だ
返せよ
足も手も 命も全部返せ
それができないなら
百万回死んで償え!!

鬼滅の刃 23 (ジャンプコミックスDIGITAL) 第197話 執念 より 

このあたりがやっぱり泣かせるし、無限城に呼び込まれた直後くらいまではまだ無邪気に強くなることを喜んでいたのが、童磨との一戦で伊之助自身も鬼に人生を狂わされたことが分かったからなのか、心持ちがガラッと変わるところは印象的。
ちなみに無限列車編は映画館で2回観ていて、そのうち2回目は甥っ子に付き合ってもらったのだけれど、やっぱりあのシーンでグッと来てしまいボロボロで、甥っ子に苦笑いされてしまった。君も大人になったらきっと分かるよ。

そして作中、かなり終盤まで群を抜いた「ヘタレ」である善逸が、兄弟子の裏切りとその責任を取った、「じいちゃん」と呼び慕う師匠の切腹を知り急成長していく様は本当に見事。見事なんだけど、出来ればそれをじいちゃんが元気なうちに見せてあげて欲しかったなぁって思う。ギリギリ、というか手遅れなところまで追いつめられないと一段階乗り越えられないあたりが善逸ぽいといえばそう。
そんな感じで本編終盤はかなり格好いいのに、ガイドブック収録の後日談ではすっかりヘタレに戻ってるあたりも彼らしい。

原作も十分魅力的ではありつつもちょっと癖が強い感じがあるので、アニメがかなり上手に昇華している点も社会現象になるほどのヒットの理由かなぁって思う。ワニ先生ufotableさんはじめ関係者の皆様におかれましてはしっかり報われて欲しいなぁって思います。 漫画で心地良いテンポとアニメでのそれって違うよなぁって最近よく思うし、これはぜひ物語完結までアニメにしたものを観たい。ということでまずは刀鍛冶の里編を楽しみにしています。

*1: 鬼の件がない時点で8割くらい出来上がっていて、鬼殺隊がらみで残り2割の成長を補完してる感じがする。