熱中症に怯えながら参加したイベントの話を、部屋のストーブに火を入れようか悩みながら書いています。この度は参加記の公開が遅くなり誠に申し訳ありません。
当日の雰囲気についてはburiodenさんの記事やAyunaさんの記事を読んでいただくとして、例によって読書感想文が苦手な私はなんでこのコンテストに参加しようと思ったのか、みたいな話を主にしたいなぁと思います。
自己紹介
まずは自己紹介を。
AtCoderではthatblueでやっている、仙台周辺を主な活動地域とするソフトウェアエンジニアです。今回はCodeQUEEN 2023 の決勝戦に参加してきました。また関東圏外からの参加ということで交通費を支援していただきました。本当にありがとうございます、社会人ではあるのですが大変助かりました。
決勝戦、めっちゃ悔しかったけど楽しかったという話
決勝戦のコンテストサイトが非公開*1なのでどこまで自分の結果をオープンにしてよいものか悩むのですが、正直結果に関しては尋常じゃないくらい悔しくて、今でも思い返すたびに言い訳が溢れてくる始末。相対的な結果である順位以上に2完したかった、っていうダメだったときのABCみたいな感想がですね。
とは言えコンテストを経験して個人的な目標もいくつかできたので、気を取り直して来年以降もいち参加者としてチャレンジしていきたいと思っています。
今回の決勝戦に参加するまでずっと一人で…というとだいぶ語弊があるものの、これまで競プロ界隈との接触を積極的に持たない状態で初めてオンサイトイベントに参加したので、正直懇親会が不安で仕方がありませんでした。
そんな中休憩中や懇親会で話しかけていただいたり、競プロ女子部のDiscordに招待していただいたりして競プロ仲間と明確に呼べる相手ができたのは実際とても嬉しく、それだけでも参加してよかったなぁとしみじみ感じています。
IT業界とアファーマティブアクションと私
さて、競プロ以外のIT系の文脈で私が居る界隈をご存じの方は想像がつくと思いますが、私は「アファーマティブアクション」と呼ばれるタイプの活動に強い関心を持っている人間でもあります。なのでCodeQUEENの開催を知ったとき、とても嬉しくて何としても予選は参加しようと決めていました。*2
そのような背景もあり、私はこのCodeQUEENというコンテストがアファーマティブアクションの一環として行われているという認識で参加しました。予選のサイト等ではこの言葉は出てこないのですが、開催趣旨としては同一のことが書いてあるはず、と理解しており、後続の話はそれを前提として書いています。*3
また念のためですが、この記事は個人の意見として、私個人の責任において発信するものであることを強調しておきます。
ちなみにアファーマティブアクションについてもうちょっと理解したい方はRails Girls JapanのWebサイトにあるアファーマティブアクションについての解説を読むのがおすすめです。
開催告知が出た当時競プロ界隈の人との接点が少なかった私でも予選となったABC308にある開催趣旨について賛否が出ていたことは度々目にしていました。あくまで私の観測範囲では、という前置きは付きますが、否定側の意見としては主に「ならばどうして競技人口に男女差が生じているのか」「どうして敢えて女性を対象としたオンサイトコンテストを開催する必要があるのか」というあたりに収束すると解釈しています。
この問いに対する回答のひとつとして、少し前によい記事が出ていたので紹介したいと思います。開催趣旨をもう少し具体的にかみ砕いたような感じの内容です。
これは主にチェス界でのトランスジェンダー選手の所属カテゴリーに関する議論と、その原因となっているボードゲーム界全体に存在する男女間のレベル差に関する記事です。後半部分(3ページ目以降)についてほぼ同じことがIT業界や競プロの世界でも起きていると理解してよいでしょう。
大げさに聞こえるかもしれませんが、これは言語非言語問わず「女性は論理的思考が苦手(もしくは不要)である」みたいな
男性として生まれてきた人に対していわゆる「男らしさ」を要求する傾向も含め、生まれたときの性別や出自のような本人にはどうしようもないカテゴライズで雑に人の興味や可能性を潰されたらたまったもんじゃないです。最終的に別の道を行くと決めるにしても、本当に自分の選択の結果であるのと、呪いに負けた結果としてそう思わされているのとでは全く意味が違うのです。
「裾野の広がらない山は頂上が低い」とよく喩えられるように、トッププレイヤー層の厚さや高さは全体の競技人口と正の相関があります。これは前述の「呪い」の存在を考えれば数年のスパンですぐに解決するものではありません。
IT業界においても先人たちの努力のおかげでぼちぼち潮目の変化を感じるものの、本格的な変化が現れるには残念ながらもう少し先の世代まで待つ必要があると思っています。
なので、その流れを加速させるために少し頑張って間口を増やし、「やってみたい、自分にもできるのでは?」というポジティブな関心を持ってもらう必要がある、というのがいまのフェーズだと理解いただけたら嬉しいです。
一方で私いち個人の身の振り方(?)としては、競プロでもIT業界でも自分がガチガチのトッププレイヤーになることは正直そこまで期待していなくて*4、単純に自分が楽しいからやっている、に加えてそれを見て「なんか楽しそう、自分もやってみたい」と思って貰い、それこそ未来のCodeQUEENに業界へ興味を持ってもらう一助になることを期待しながらだいたいの活動をやっています。
おわりに
アファーマティブアクションはあくまで経過措置として存在するものであり、目的を達成すれば必要のなくなる活動です。CodeQUEENの場合はいつか女性の競プロ人口が十分に厚くなり、決勝出場者が暖色コーダーだらけになって「敢えて女性だけを集めたコンテスト」を開催する必要がなくなることがゴールなのかなぁと勝手に思っています。
その日がなるべく早く来ることを願いつつ、次回以降もよいイベントとなることを*5願っています。
もしスポンサー検討の一環としてこの記事を読まれている企業担当の方がいらっしゃれば、いち参加者の立場からではありますが何卒よろしくお願いいたします。受け売りですが継続が大事なんです、この手のイベントは。
最後になりましたが主催のkenkooooさん、本当にお疲れさまでした。